日本胃癌学会により提示された胃癌治療ガイドラインに基づいた治療を行っています。
早期胃癌
早期胃癌については、当院消化器内科との綿密な連携の上で、胃内視鏡的粘膜下層剥離術の適応を外れる症例に関して、原則的に腹腔鏡補助下胃切除術、胃全摘術、もしくは開腹での胃切除術、全摘術にD1~2のリンパ節郭清を行います。もちろんこれらの手術は、症例の進行度や患者さんの全身状態に応じて、幽門側胃切除術、噴門側胃切除術、および胃全摘術の内から十分なコンセンサスの基が行われています。
腹腔鏡補助下胃切除術、胃全摘術について
進行胃癌
進行胃癌には、拡大根治手術や術前化学療法を積極的に取り入れています。
- 1.術前化学療法
- いわゆるスキルス胃癌や病期の進行した胃癌(病期3~4)では、必ずしも拡大手術だけでは予後の改善に結びつかないことがわかってきました。そこで、昨今の化学療法の高い奏功率を期待して、手術の前に約1‐2ヶ月間の化学療法を行うことで、ある程度の腫瘍の進展をコントロールした後に拡大手術を含む根治術を行います。具体的な薬剤としては、内服薬のS-1、カペシタビンや注射剤のCDDP、CPT-11、タキサン系やL-OHPなどと分子標的薬トラスツズマブを効果的に組み合わせる方法をとっています。
- 2.拡大根治手術
- 進行癌に対しては、日本胃癌学会により提示された胃癌治療ガイドラインに基づきD2リンパ節郭清を標準術式として行っています。さらに進行した症例には、傍大動脈リンパ節郭清などの拡大郭清や、他臓器に浸潤している症例に対する合併切除術(膵頭十二指腸切除術や左上腹部内臓全摘術など)まで手術適応の拡大を積極的に考慮しています。
また、高度進行癌に対しては、前述の術前化学療法と拡大手術の組み合わせを積極的に行っています。
本グラフには、当院外科の生存率を表示していますが、進行がんの多い少ない、高齢者の多い少ないなど、他施設において治療している患者さんの構成が異なることがあります。
そのため、単純に生存率を比較して、当院外科の治療成績の良し悪しを論ずることはできません。
このことについてご理解いただけますか?